A君の名前は，解剖学用語と同じ綴りだ．実習が始まる前に名簿のなかに，その名前を見つけて，私は構造を思い浮かべていた*1．
実習も数回過ぎて，彼のいる実習台で作業を手伝いながら，A君に，もうしばらくすると君と同じ名前の構造にたどり着くのだが，，，と声をかけた．
そうすると彼は，まだ子供の頃にエゴサーチをしたブラウザの画面に，解剖学のサイトが並んでいて，ナゼこんな事になるのか驚いたと教えてくれた，それから自分の名前が解剖学的構造と同じであることに気づくのに多くの時間はかからなかった，と．時が経ち，A君は医学科に入学して進級して実習室にきて，その構造を見る時が近づいていると思っていたという*2 *3．
期せずしてA君と私は同じ事を考えていた．私たちはもうすぐそれを観察する．彼にとってそれは特別な出会いになるに違いない．実習をするようになって長いが，今年はことさら趣深い．
