腹膜腔の壁は,内側から壁側腹膜・横筋筋膜をへて腹横筋になっている.「横筋筋膜と壁側腹膜は二枚のはっきりとした膜が見えると思っていた,けれども、実際には一枚しかないように見える。」とMさんが言っていた.同じように思っていたヒトが多いかもしれない.
肉眼的に観察出来る二枚の膜があるわけではなく,一枚の膜の腹膜腔側を壁側腹膜,外側の筋鞘や腹横筋に付いているところを横筋筋膜という名で呼ぶ.けれども,組織像を観察すると,単層扁平上皮(中皮)の壁側腹膜と,疎性結合組織(線維芽細胞と膠原線維の薄い層)の横筋筋膜の2層が区別できる.