街を離れる前にI君とN君が訪れた

卒業式が中止になり,住まいをたたみ,街を離れる前に,ふたりが研究室を訪れた.I君はときどき現れては,質問や議論をしていく学生で,他の活動で準備した学会発表のポスターを持ってきては,第三者的アドバイスを求めたりしていたし*1,N君は進級した後に実習をしたこともあった.彼らはここの空気に波長が合っていたのかも知れない.

それぞれには取り組みたいことがあって,実現の可能性が高い選択をした.これは至極当たり前のことだけれど,かつて私達が大学を卒業した頃には当たり前では無かった.自分の学ぶことを探して,大学や研究所に手紙を書いてアポを取り,訪ねて歩き,その中から進学先を選び,引っ越したのは遙か昔のことだが,同期の中でそんな事をしていた者はいなかった.臨床を選んだ者の中にも,外部の大学や民間病院に研修の機会を求めた者はわずか数人.あらかじめつけられた道筋ではなく,轍のないところを歩いたものは多くなかった.

どの様にところにも研修するメリットはあるのだろう.それぞれはどんなメリットを得るかを考えて,選ぶのだろう.けれども,学問があって,研究があって,学生が居るのは,大学だけだ*2.学問をするものにとっては大学は最も相応しい場所の一つで,そこには二人のような学生がいて,ガヤガヤした研究室を見つけることができる.

そんなわけで私はずっと学問をするところにいる.現在いる所で,大学は4けんめ*3

*1:その発表は受賞!

*2:大学院大学というのもありますな.

*3:研究所を入れれば5つめ.