作業を手伝っていたときに,実習の班の4人のうち,3人が他の大学を卒業してから一般入試を受けて,私達の学科に入り直したヒトが,偶然にあつまっており,卒業したときの進路のこととか就職活動や就職の話になった.A君は就職して数年働いたあとに,B君とC君は学部の卒業時に,二度目の入試を受けて,ここにやってきたのだった.
臨床実習中の学生が,徐々に近づいてくる学生の終わりと研修を意識*1しだしたことを聞いていたので,ふと,「大学を卒業するときに,学問の生産者になることを考えたことはなかったのかい?」と質問を投げかけてみた.
在学中は,これまでに蓄積された事実と知識の体系をなぞって受け入れる*2のだが,ほとんどのヒトは卒業時にはその体系を実践する*3側にまわって,社会に還元する仕事に就くのだろうけれど,もっと多くのヒトが,知識の体系の生産*4者になって,新しいコンテンツを付け加えたり,修正したりすることを考えたらいいのにと,常々,感じていたから.
「考えたことなかったです」というA君の言葉を聞きながら,かつての自分はどうしてこうなったのかと考えたら,臨床医はとても無理で,どうやったら生き続けていけるか右往左往した末のことだった,と思い出した.