六年生のK1君が卒業した.彼は認知機能が高く,素直で,他の人の話に耳を傾けてさまざまな事を考慮する.3年生から実験を続け,神経科学学会で発表して,研究医養成プログラムを修了した優秀な学生である.彼が4月から研修医になって働くことを祝う送別会があった.
その席で,無口で余計なことを話さない寡黙な大学院生のK2君は「道*1をしめすことはできる,けれどもその道を歩くのは自分自身だ」とK1君に語った.
そのやりとりを横で聴いていた私は,その通りだと,心の中でK1君に伝えた.K1君,自信を持って自分の思うところに進むように.歩くのは自分自身だ.そんな時に何かを言うヒトがいるかも知れないけれど,気にせず,自分を信じて.
その数日後,博士論文の討論をK2君としているとき,私は彼の言葉を思い出し,そのまま言った.論文の書き方は示す,けれども論文を書くのはK2君自身だ,と*2 *3 *4