数ヶ月前の、実習のなかで毎週の振り返りにO君が「来週もしっかり冒険する。」と書いてきたときのことを、思い出していた*1。
F君やN君は、重い荷物を背負って、険しい道を歩き、岩の壁を登ったりする。そうして遠くの山の上にたどり着き、そこから歩いて戻ってくる。私がそんなことをすることはないが、部屋のなかでモニタの前でキーボードを叩くときの、頭と心の中*2は、きっと彼らと似ているだろうと思う。けれども、彼らはそれを想像できるか?
実習と講義が終わって、後期が始まる前の束の間、会議のない日に、朝から晩まで実験のことだけを考えていた。そんな中、一日に終えられなかったことを頭の中で整理して、翌日に取り組むこととその手順を組立てて困難に挑むことが心地よかった。私が行うことは、考えてスクリプトを書いて、吐き出されるデータや図を目を皿のようにして見つめて、論理の道筋を探すことだ。はたから見ると机にへばりついてモニタを睨みつけているだけなのに、心の中では、いどみ跳ね返されて、勇気を振り絞って再び進むが、風が吹き荒れ雨が吹き付け、雲間から突然に日が差し、道筋を見通す、そんな事が起きている。
大学院に進学して基礎研究をしよう決めたとき、求めていたのはそんな日々だったことを思い出していた。