それも論文、これも論文、どれが論文?

関わっている仕事について話してほしいと頼まれた。それは研究とか教育ではなく、運営のシゴトだ。資料を読んで、これまでの知識に最近のものを加えて、理解をアップデートした。資料をまとめて、提示用のスライド原稿*1を作る作業は楽しく、やり甲斐も感じた。けれどもそれと同じくらいこの中で感じたのは、準備のために探して集めた資料、一時間ほどで読み通した5編の文書、はGoogle Scholarに載っている論文であるという、ちょっとした違和感だった*2*3

 その論文は自分が取り組んでいる分野の論文と、とても異なっていた。たとえば、私の分野の論文は一年ほど試行錯誤した実験結果をまとめると5行ほどの文章になり、それに実験を追加して3ヶ月分の結果を合わせると論理が一行の文に変わり、単純に*4なる。そんな性質は今回読んだ資料には無かった。

*1:pptxといえばわかりやすいだろうが、私が使うアプリケーションの拡張子はkey。

*2:『たとえばイギリスを見ると、やはり伝統あるお国柄というか、科学者がもっと悠然と研究していますよ。日本人から見ると、「え?こんなに論文が少ないのに高い評価を得ているの?」と思うことがあります。本来、一人の科学者が一生に5本の重要な論文を書ければ、それで十分なはずですよ。今の日本だと、一人で「200本(の論文を)書きました」とか平気で言いますからね。要するに、あまり大したことのない論文をたくさん書かないと科学者として生きていけない。逆に「大事な問題をじっくり温めて考えましょう」というのは、今の日本の雰囲気には合わないんですよ。』と言ったのは大隅良典だった。

*3:https://gendai.media/articles/-/99753?imp=0

*4:美しく