「分からない」をみせないシステム

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以前よりも少ないけれど,試験*1の前になると,「分からない」「不安だ」とmoodleの振り返りなどに感想を述べるヒトもいる.機会があれば,「全て理解したので,不安などない」という気分になったことは私は今までに一度も無いよ,と話すのだが,,,

探求のなかで疑問に立ち向かう時がくれば,きっと分かって貰えるだろうけれど,研究をしているヒトにとって,「分からない」という感覚は「知りたい」とか「理解したい」という事と表裏一体で,原動力だから,もしも「全て理解した」と思っているヒトがいたら,それは知ったかぶりだろう.もちろん,論文が通らないとか,予算があたらないとか,不安な気分になる事はあるけれど,「分からないから不安」になるわけではない.

けれども,臨床医は患者さんの前で「分からない」とは言わないだろうなあ,と気付いた.もちろん,彼らだって分からないことを扱っているけれど,それを直接に言う事で生じる不利益があるので表現しないのだろう.

医学は科学だろう?だから,核(コア)には「分からない」が「理解したい」を駆動する研究モードがあるのは疑いないけれど,表層(シェル)を覆って,業務モードを作って「分からない」を隠している*2.医学には二層のシステムが出来ているので,コア剥き出しの研究システムとは少し雰囲気が違うのだろう*3

*1:口頭試問とか

*2:業務モードと研究モードの行き来を,コントロールできずに罠にハマるヒトもいるだろうな.そんな時,科学はスポイルされるだろうな.

*3:そんな事を考えた日曜の午後