研究がしたいという希望を持つヒトにどんなことを話したら良いか,自分のことを思い出していた.
研究したいと漠然と思ったとき,いまでいうリサーチマインドのオーラをまとったヒト(当時在籍していた大学の生化学の教授)と話しに行った.地域の医療を支えるように作られた大学に通っていたから,そんな学生はあまりいなかったと思う*1.
私がとくに何かを具体的に知りたいとか調べたいとかまだ考えていないことに気づいて,興味をひく研究に巡り会えるように,論文を読むといいよ,と彼はいった.論文を読んだことがなかった私は,時間があるとき図書館に行って,とりあえず毎週NatureとScienceの目次を眺めることにした.なんだか分かる単語があれば,辞書を引き引き読み出した.それから文献をたどって,他の雑誌を探し始めた.それが最初だ.それから芋づる式にいろいろと読みだしたが,そんな事をしばらく続けて,素朴にカッコイーと思ったのが,
Takeichi, Masatoshi. "Functional correlation between cell adhesive properties and some cell surface proteins." The Journal of cell biology 75.2 (1977): 464-474. *2
学部生のやることだから,読む数や深さはたかが知れていた.感じたカッコヨサとは何だったか,その時の私は理解できておらず,それを教えてくれたのは,研究室の助手*3のMさんだった.