12月10日(火)に生命融合科学教育部(博士課程)で行ったFD(faculty development)の結果をまとめた原稿を書いていた.
少子化のために学生数は減少するので,その対応が大学に求められている.学士課程の先にある大学院も数年遅れでその影響を受けるのは不可避だが,現在の大学院進学者数が増えていない現状は少子化の影響ではない.
90年代後半から00年代にかけての大学院生数は大きく増えた.これは大学審議会大学院部会が1991年の答申のなかで,2000年度の大学院学生数を2倍に拡大するという量的な目標を示して,政策として推進したことによる.企業が採用を希望するという観測とリカレント教育の需要増加,留学生の増加を見越してのことだった.
並行してpostdoctoral fellow(ポスドク)にあたる日本学術振興会の特別研究員制度を充実させて,博士在学者と修了者の出口を支援した*1 *2.2000年代にかけて順調に大学院生が増え,ポスドクが増えたが,大学などのアカデミックポストが減ったことと,経済的な状況の変化によって企業の採用が増えなかったために起きたポスドク問題*3の影で,大学院進学者のキャリアパスが不透明になった.不安に満ちた学生は大学院進学を避けて,定員割れを起こすのが現在の状況だ*4.
この様な問題の解決を図るための視点はいろいろある.多くの人が指摘するように政策として文科省が取り組む水準と,大学が組織として取り組む水準がある.その他に研究科*5で工夫できる制度作りや取り組みもある.大学や研究科の取り組みを,それぞれの組織の価値を高める効果に結びつけることができる,そんな方策を考えた.