効率と要領

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お昼休みにKさんが現れた.他の人から,「過去問をやって,手軽な“〜が見える”シリーズとか読んだ方が効率が良いし,要領がいいよ,..」とか言われるのだけど,,,と戸惑っているようだった.

 学生の頃,自分はどうだったろう,と思い出してみる.その頃,コンパクトで絵がたくさん載っている手軽な参考書は無く,ハードカバーで厚くて重い教科書しかなかった.それを読むのがおっくうな人達は,分かりやすいノートを書くという評判のヒトのノートのコピーをどうやって入手するか苦労していた.そういえば昨今の手軽な参考書は,ちょっと分かりやすくてポイントを押さえている学生のノートと似たような所がある.

 ー効率よく,要領よくー,そんな勉強を,皆は高校生の頃からしている.その続きのまま,大学生になっても同じような勉強をしている.その様な,“効率よく要領よく”する勉強は,何か別の物事のために踏み台にして手段として利用する,通り過ぎていく勉強なのだろう.

 けれども,通過点としてでは無く,そこに留まって,どっぷりとつかって勉強して,それを自分の糧とするヒトもいる.その時には世界中の誰もが認める良い教科書を手に取り,その中に入っていく.そしてその中で生きるようになると,教科書を捨てる時が来る.論文を読み,人の話を聴き,ベンチで手を動かし,失敗し,落胆し,何かを掴み,喜び,論文を書き,そして教科書を作るようになる.