むしろそれで良いのだ.

カピバラ銭湯」の著者は医学科で2年次生の解剖学の教育にたずさわっている.解剖学実習を終えた後に提出されるレポートを,時間をかけて目を通して,その年を振り返る.それを毎年繰り返していても,思ってもいなかった言葉に驚かされる.

 「解剖学実習を経て,私の知識は以前と比べものにならないほど増えたと自信を持って言えます.しかし一方で,むしろ自分が小さく,何も知らないように感じることが増えました.それで良いのだと思います.この解剖学実習は終わるものではなく,医学を学ぶ道の始まりだと思うからです.学ぶべきことは膨大で,どこまでも深そうです.」*1

 「解剖学実習」を「任意の学問」に,「医学」を「科学」に置き換えれば,普遍的になる.

 どこまでも深い道のりのなか,現在の自分が立っている足元を見つめて,来月に新しく集まる100余名のことを想像した.

*1:Tさん,ありがとう.