割り箸の思い出(知は力なり)

君たちは箸を使って食べるが,その箸を使い捨てているだろう.それのせいで森林を破壊しているのだよ.私達と同じような食器を使いなさい.それが正しい.

 と言われたことがある.

多くの人は塗り箸を使っているし,愛着を持って長く使っているから,決して私達は自分の便利の為に木を無駄にしている訳でないと,言ってはみたものの,割り箸について,それまで深く考えた事がなかった私は,お弁当やお惣菜を買って食べる時にもらう割り箸と,チェインソーで切り倒される森林の様を想像して,自分をその状況から切り離して責任がないという態度は取れないと心を痛めていた.これは海外でポスドクをしていた時の出来事だった.

 しばらくして,割り箸はそのままでは捨てられてしまう間伐材を有効に利用して作られる物だと知った.知る事はpowerである.興味や関心が無いから知らぬと言って,狭い認識に閉じこもって安心して,自分から周りに間違った認識を伝えてしまうのは愚かな事だ.