オンライン会議のおかげ

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最近の会議は当たり前のようにオンラインだ.オンライン会議を使いはじめた頃,それまでの対面の会議ではほとんどなかった,会議で面と向かって罵倒するヒト,が現れて驚いた.そんな事は滅多にないことだったので,それを同僚に話したところ,他の会議で彼も同じような事を経験していて,二人で驚いたことがあった.先週には他の同僚から,私が遭遇したことと同じようなことを別の会議で経験したと話しかけられた.

 かつての対面した会議でも大声で罵倒するヒトが一人いた*1けれど,それはそのヒト固有な欠点で,皆は厭がっていたが,もうそのヒトがいることを前提としてうまく治めたり,回避したりして運営していた*2.けれども,そんな事をしたことのないヒトが,オンラインで度々変わってしまうようである.それは大体おなじヒト達だったので,オンラインのコミュニケーションの中で,それまで隠されていたコアの部分が剥き出しにしてしまうヒト達がいるようである.

 「対面して伝わるような,聞き手の表情などの密度の濃い状態を伝えるノンバーバルコミュニケーションがモニタ越しでは少なくなっているので,感受性に乏しい話者がフィードバックの少なくなった環境で取り残されて,聞き手の様子がわからずに暴走しているのだろう」と同僚と私は考えた.確かにオンライン罵倒常連話者は権威的な傾向がある認知能力が小さめなヒトビトだった.

 けれども,悪いことばかりではない.モニタの向こうの彼らの身振り手振りや表情は,大根役者の紋切り型の演技のように滑稽で,恫喝や威嚇などの飛び道具はこちらまで伝わって来ない.だから冷ややかに平常の対応ができるのだ.威嚇は動物の基本的な行動レパートリーのひとつだよなぁ*3.野生の環境に最適化した行動形質なのかもしれないなぁ.私たちの環境はそれとは大きく変わってしまっていて,非対面型のコミュニケーション環境では適応度の向上には寄与しないのだろうなぁ.威嚇の効果は,もうオンライン環境では無効化されたのだなぁ.こんなところでオンラインの効用を発見したのだ*4

*1:数年前に退職したので,もういない.

*2:とても労力がかかった.

*3:innate?

*4:良い世の中になったものだ.