適応放散の三段階

「初期の種は競争して分化するが,交雑も可能で,状況によっては戻し交配によって1つの集団に収斂する.この段階は浸透交雑による集団の融合と,選択圧による分裂の間で揺れ動く,創造的な段階だ.多様化の過程は複数回,素早く起きる.この第一段階には雑種強勢の期間も存在している.」

 「部分的で不完全な遺伝的不和合性が現れるのが第二段階である.長い期間を経て,小さな不和合性が蓄積していき,交雑個体の繁殖力が低下し,生存率が加速度的に減少する.」

 「交雑個体の妊性が失われて,第三段階が始まる.二種は遺伝子の交換を行うことが出来なくなり,進化的に独立となり,運命は環境によって決定される.第三段階が経過するにつれて,種分化の継続と絶滅が起きることによって,放散初期の痕跡は失われる.放散の運命は種分化と絶滅のダイナミクスによって決まる.」

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 多型の進化においても,融合と分裂の初期段階,中間的な段階と,分岐が確立する後期段階という同じような過程を経るはずだが,第二段階と第三段階で想定される遺伝的不和合性と交雑個体の繁殖率と生存率の低下を想定することはできないよなぁ...

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*1:"How and Why Species Multiply - The Radiation of Darwin's Finches." P.R.Grant and B.R.Grant 「なぜ・どうして種の数は増えるのかーガラパゴスダーウィンフィンチ」巖佐庸(監訳)山口諒(訳).共立出版 2017