Krakauer, J. W., Ghazanfar, A. A., Gomez-Marin, A., MacIver, M. A., & Poeppel, D. (2017). Neuroscience needs behavior: correcting a reductionist bias. Neuron, 93(3), 480-490.
メカニズムとは、「構成要素、構成要素の操作、およびそれらの組織化によって機能を果たす構造」と定義することができる。メカニズムが組織的に機能することで、1つ以上の現象が引き起こされる」*1。極めて重要なのは、メカニズムの構成要素は、全体として組織化されたメカニズム(すなわち創発)とは異なることを行うということである(Bechtel, 2008)。構成要素の還元主義的な取り扱いは、メカニズム全体がどのように組織化され、それが環境に組み込まれたときにどのように振る舞うかを調査することと組み合わせる必要があり、このアプローチは不可避的に2つのレベルにまたがる。
2つのポイントを説明する。1つ目は、神経基盤レベルの実験は、アルゴリズムや計算プロセスの候補を発見したり提案したりした既存の行動学的研究に基づく仮説を用いて設計するのが最善であるということである。第二に、神経レベルでの結果の説明は、ほぼ完全に行動研究から得られたより高いレベルの語彙や概念に依存している。下位レベルの説明は上位レベルを「説明する」ものではない。
神経科学には、実装レベルの記述によって因果的な主張が可能になるだけでなく、アルゴリズムや計算論的な理解にもつながるという暗黙の前提があるように思われる。因果関係を操作するという考え方だけでは理解には至らないので、より多元的な機械論的理解の考え方は、神経科学を助けることにしかならない。
Woeseが主張しているように*2、科学は技術的進歩と指導的ビジョンの両方によって推進される。重要なのは、両者の貢献のバランスをとることである。