微小粒子と肺門リンパ節

しばしば黒い肺門リンパ節を見ることがある.そのようなとき,肺胸膜直下には斑状の黒色領域を見る事がある.極端な場合には肺門リンパ節に留まらず,縦隔リンパ節や頚部のリンパ節までもが黒く,その場合には肺胸膜全面が黒色を呈することもある.
 多くの場合,その原因は喫煙の煙などに含まれる粒子と考えられる.直径2.5μm以下の微小粒子(PM2.5)は上気道(鼻腔,咽頭喉頭,気管,気管支)の線毛上皮によってトラップされること無く,肺胞まで侵入する.肺胞に辿り着いた微小粒子を線毛によって機械的に排出する機構は,私達の身体に準備されていない.
 それは肺胞マクロファージによって貪食される.マクロファージは肺の末梢からリンパ管を通って,肺門リンパ節に辿り着き,細胞の寿命を迎えた時点で崩壊し,リンパ節の中に微粒子を留める.その微粒子は再度貪食され,静脈角までのリンパ管の経路を移動することもあるだろうが,体外に運び出す経路は無い.
 そのような微小粒子は,身体の中にずっと留まる.