脳梗塞・心筋梗塞・首都高速

脳梗塞心筋梗塞首都高速」とは,

2019年1月13日にオーバードホール(富山市芸術文化ホール)で行われたコンサート*1 *2 *3におけるスターダスト☆レビュー*4のボーカル根本要の言葉.

【解説】
 昨年軽い脳梗塞*5を患った根本は,曲の合間にその様子を話した後に「ノウコーソク,シンキンコーソク,シュトコーソク」と駄洒落を飛ばして,次の曲に入ろうとしたが,殊の外ウケず,「言ってみたかったんだよ!」と照れ隠しをしたのだった.
 三階席の最後方で,それを聞いていた筆者は,かつて首都高の大渋滞に何度も巻き込まれ,にっちもさっちもいかなくなったことを思い出し,ひとり心の中で馬鹿ウケした*6.さらに,これまで何度か機能的終動脈にかんする解剖学的および進化学的考察を読者と共有してきた筆者は*7 *8 *9偶然とは言え根本の言葉がとても示唆的なことを見逃さなかった.
 首都高は都心環状線から放射状に延びる枝が,東名高速,中央高速,関越道,東北道常磐道などに接続し,それぞれ,東海道方面,松本方面,群馬から新潟および長野上信越道方面,栃木・福島中通りから東北方面,茨城から福島浜通りへ,つながっている.これらの放射状の高速道を環状につなぐ圏央道・外環道・中央環状線が構造上の側副路を作っている.しかしながら,過剰な交通量が側副路の容量を超えるため,側副循環が機能せず,慢性的な渋滞にさいなまれるその様子はまさしく,機能的な終動脈状態である*10
 2017年に圏央道境古河ICつくば中央IC間が開通し,東名・中央・関越・東北・常磐道を結ぶ側副路が完成した.新たな側副路を整備するため費やされた膨大な資源*11を想像することは容易である.生存に重要な脳と心臓に,潤沢な側副路が進化し,虚血性梗塞を免れ,機能的な終動脈を脱するために必要なコストはかなり大きいと考えられる.そのコストを上回る適応度の増加がなければ,進化は起きることは考えにくいだろう*12

*1:そこでは二年生のK君が会場係のバイトをしていた.舞台の袖で忍びの者の様にかがんで,例えば,盛り上がった観客がステージに駆け寄ろうものならそれを止める係,をやっていたのだった.筆者はそのけなげなそぶりの中に,普段から誠実な彼を観た.

*2:しかしながら,デビュー38年になり,根本と柿沼が還暦をむかえたという長いキャリアのバンドと共に年月を重ねて,同様に高齢化した観客が,我を忘れてステージに駆け寄る可能性は限りなく小さいのだった.

*3:とはいえ,それもコンサート運営のマニュアルというものであろう.

*4:https://www.s-d-r.jp

*5:MRIと診断技術の一般化に伴って,かつては見逃されていた軽度の脳梗塞が発見される頻度がたいそう増えているようである.筆者のかつての同僚も診断されて,驚かされた.

*6:ちなみに,スターダストレビューには「大渋滞」という曲が有る.2007年に発表されたアルバム「31」に収録されている.

*7:

kapibarasenn10.hatenablog.com

*8:

kapibarasenn10.hatenablog.com

*9:

kapibarasenn10.hatenablog.com

*10:これを首都高速機能的終動脈仮説と呼ぼう.実証的な検証が待たれる.

*11:資金・時間・労力など

*12:このシナリオを実証するためのsimulation codeを書くことを空想した.