古典的な量的形質遺伝学では
(1) あらかじめ与えられた適応度地形の中で適応度が増加する方向に形質の平均値が変化する形で,相加遺伝分散と適応度地形の傾きの積に依存した速度で進化するーーーと考える.しかし,適応度に依存する個体間相互作用の下での頻度依存性淘汰のなかで,形質が二峰性やそれ以上に分岐する様な進化動態の解析をすることができない.
Adaptive Dynamicsは
(2) 種間・種内の個体間相互作用下の頻度依存性淘汰と進化を理解する枠組みを提供する.
(3) 侵入適応度 s(y,x)を野生型形質x,変異型形質yの関数としてみたときの2階偏導関数の符号によって,進化的安定性と収束安定性を分類し,pairwise invasibility plotで表現し,侵入可能性を解析することで,形質の進化的分岐を示すことができる.
(4) 適応度が頻度依存的であれば,特殊なパラメーターや仮定がなくとも,進化的平衡状態が形質の安定や分岐がもたらされることを理解できる*1.
1998年のGeritzの論文をもってAdaptive Dynamicsの勃興とするらしい*2.構造のことだけを考えて,Adaptive Dynamism以前にたどり着いた.